昨年につづき、山あげ祭をご紹介したい。今年はコンタックスTならぬ、Lマウントゾナー38mmを持参した。もっとも改造＆目測レンズなので、山あげ祭のようにダイナミックに動き回る祭では、やはりメインのカメラのような使い方にはならなかった。
　日野町の一連の山あげの流れに沿って、持参した各カメラの画像をご紹介したい。

2002年7月栃木県烏山町　山あげ祭

　北関東、那須の烏山町。本年の夏も、とんでもない猛暑であった。祭期間中もなんとかしのげたが暑かった。

　本年は日野町が当番町である。中心市街地６町のうち、もっとも新しい町だそうだ。世帯数でみれば金井町の次に多く、元気な若衆が多いのではないかと思う。
　日野町の今年の出し物のメインは「将門（まさかど）」。平将門滅亡の後、その娘滝夜叉姫（たきやしゃひめ）は、ガマの妖術を使って再興を図ろうとする。討伐に来た大宅太郎光圀を色仕掛けで味方に引き入れようとするが見破られ立ち回りになるという筋立てだ。

山あげを撮る

　今年は、動き回る撮影はレンジファインダー機、静止しているときの撮影は一眼レフという基本コンセプト「２ボディに２レンズ（２ｂｙ２）」に加え、同行者のコンパクト・デジカメを加えて臨んだ。

　★BESSA R＋Lマウントゾナー38mm＆GR28mm・・・・・・最強コンパクトカメラ兄弟の親戚（？）。
　★Pentax MX+M50mm＆M80mm〜200mm・・・・・・なじみの一眼標準セット。
　★Canon PowerShot S40・・・・・・コンパクトデジカメ。カミさん用。

　この他に主要機材として、軽量三脚一本と特製脚立（オリジナル）を持参。これらは全部足しても軽いため、一日中持ち歩けた。

　

　日野町以外の町で山あげをするときは、若衆は訪問着をつけて屋台を曳きまわす。このとき、町はずれまでかなりの距離の坂をのぼって行った。まさしく炎天下、観光客は付いてこない。若衆の声も幾分かすれがちのようであった。
　屋台曳きまわしの先導をになうのは、金棒引きのかわいいお嬢さんたちだ。

DATA : (左)Sonnar　38mm　ネガ、(右)　Sonnar　38mm　ポジ

　訪問町にて屋台位置が木頭の指示により定めらると、地車が威勢良くつっこんでくる。このとき、地車担当の若衆は訪問着を着けていない。

　ほとんどの装置が組みあがった終盤に力を合わせて山をあげる。
　　　DATA : (左)Sonnar　38mm　ポジ

　舞台設置が完了し、狂言が始まるまでの間も囃子は演奏されつづける。ごらんのように若い年代も担当する。年配の方と区別がつかないほど上手だ。そばでは先輩が見守っている。
　狂言の時間が近づくと、常磐津連中や踊り手がスタンバイとなる。

　踊り娘さんは女子高校生が中心で回ごとに交代して演じられる。滝夜叉姫は所作狂言の中で２回変身する。着込んでいるので、さぞ暑かろう。
　終演後、舞台は短時間のうち撤収される。指示後、山をおろす作業を見守る木頭。

　夜の山あげは幻想的だ。
　若衆には、ワイルドなメンバーもまじっているようだ。

まとめ

　日野町の山あげは、木頭を中軸とした若衆による舞台設置と解体にいたる一連の颯爽とした芸風がとくに味わい深い印象でした。やっぱりどの町の山あげもすばらしいという感を新たにしました。

　祭において、Lマウントゾナーの手ごたえは、まずまずでした。今回は、二つのボディともにマニュアル操作でしたので撮影時の違和感はありませんでした。
　デジカメは初心者として、いろいろ使ってみましたところ、なかなかすごいと感じました。少し気になった点は、祭りのような非日常の色を再現することの難しさでしょうか。一般的に「祭」の庭では鮮やかな赤や緑が多用されるわけです。キャノンのデジカメはホワイトバランス調整などがんばっているようですが、赤と緑の再現に関しては発展途上ではないかと感じました（若干色が浮くという感じです・・・といっても他社とちがってとても素直と思います）。一方光が弱いところでの活用、とくに曇天の際などは、見事な再現力、豊かな表現力を持っているように感じました。

　ところで、画像のデジタル化の難しさも痛感しました。ポジとネガそしてデジカメ画像、これらを統一感ある色彩に調整するのはかなりの技量が必要だということです。最近はあえて、スキャナーの自動調節はせず、色設定や明るさなど統一して読み込み、できるだけレタッチしないやり方をとっております。するとフィルムやレンズの特性がより一層わかるようになってきたような気もします。奥が深いですね。

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どうでもよろしい余談ですが・・・　ＮＨＫの中継

　祭に出かける朝、7:00のＮＨＫ・ＴＶニュース内で３分くらいでしょうか、山あげ祭のお知らせがされていました。早朝から踊り手さんを動員しての中継コーナーです。
（経過はこんな感じ）
　踊りに焦点を充てて祭の全体像を紹介。さすが国営放送だけに短時間でわかりやすい内容になっているな・・・、これでお客さんが増えればよいな・・・と、思っていたところ、コーナーの締めで、化粧姿の二人の踊り子に、普通の女子高生であることを強調させようと最後にピースをさせて終了。イェーイ、イェーイである。「すばらしい踊りを披露する娘たちが、実はっ！！こんなに普通の女子高生なんですぅ〜。ルンルンルン。」なんてレポーターのコメントまでついていた。
　唖然。何度もリハーサルした節があり、寒気のするヤラセでした。プロデューサーやディレクターあたりの創意工夫でしょうが、おそろしく馬鹿。あの衣装と化粧をした妙齢の女性の溌剌を紹介するには最悪のセンスと思われました。さっそく抗議の電話をかけるか、受信契約解除を考えましが、アホらしくてやめました。
　夕方も生中継していましたが、所作狂言中にもかかわらず騒々しく撤収するなどスタッフ（なんと十数人！）の失礼に閉口した次第。地元の人を押しのけて、お邪魔してるんだから２〜30分くらいがまんしろよな。いまのマス・メディアはみんなこんなもんでしょうか？情報伝達手法が激変するなか、近い将来こうした環境破壊型取材も淘汰されることでしょう。

　以上です。馬鹿は私ですね。失礼しました。